▼ 山号(さんごう)・院号(いんごう)・寺号(じごう)とは
山号とは、仏教寺院につける称号のことです。
山号の有無は寺院により異なります。山号自体は、その寺院がある場所の山の名称からつける場合や仏教用語からつける場合などがあります。
山号は中国から伝わったとされており、同じ名前の寺院が増えてきたことにより山号をつけるようになったそうです。
院号とは、皇族や高僧が生活した際の寺に贈られた称号のことです。院号のはじまりは、平安時代の嵯峨天皇が御所を嵯峨院と名付けたところからだと言われております。
院は寺の中にある僧侶が生活する場所のことを指し、院号のない寺も多く存在します。
寺号とは、寺に縁のある僧侶や開山の名のことです。
寺号には、延暦寺や寛永寺など開創された時代の元号を用いることがあります。
山号・院号・寺号を合わせて山院寺(さんいんじ)と言い、それぞれがお寺の正式名称となっております。山号や寺号はあるが、院号がない寺院や寺号のみの寺院もあります。
正式名称が長すぎて簡略化された寺院名になっているところも多く、千葉県の長福寿寺も正式名称は日本一長い名前です(正式名称は、三途河頭極楽東門蓮華臺上阿弥陀坊太平埜山本実成院長福寿寺)。
▼ お寺を指す言葉「閣」「堂」「庵」「坊」とは
閣とは、仏像や蔵書を納めるための建築物のことです。鹿苑寺の金閣や慈照寺の銀閣などがこれにあたります。
堂とは、宮殿や官庁・寺社などの大きな建物のことです。殿も同じように使われます。金堂と呼ばれる奈良県の東大寺大仏殿がこれにあたります。本尊の東大寺盧舎那仏像は一般に奈良大仏として知られております。
庵とは、寝泊りができる程度の質素な建物のことです。俳聖芭蕉が住んだ芭蕉庵や良寛和尚が暮らした五合庵などが有名です。
坊とは、大きなお寺に帰属する小さな寺院のことです。僧侶の居住として僧坊や宝坊と言われております。
他にも不動尊や大師などと呼称する寺院もあります。これらお寺の山号や院号などは正式名称ではありますが、一般には馴染みのある呼び方で使われたり使われなかったりする場合があります。