神社を訪れると、入り口に存在感のある大きな門のようなものを目にすると思いますが、これが鳥居です。
一般的には、神社にあるものと認識されていることが多いのですが、実は仏教寺院にも見られることがあります。
鳥居のある仏教寺院の数は少ないのですが、神仏習合の名残と言われています。
また、一方では鳥居を持たず、楼門を持つ神社もあります。
鶴岡八幡宮や春日大社、石上神宮は桜門のある神社です。
神域の境となる結界の役割を持つものは、鳥居だけに限らず、桜門や注連縄も同様の役割を持ちます。
鳥居の起源については諸説ありますが、はっきりとしたことは判っておりません。
有力な説としては、天岩戸に隠れてしまった天照大神を誘い出すために、岩戸の入り口で宿り木に乗せた『常世の長鳴鳥(とこよのながなきどり)』を鳴かせたという伝説により、鳥の居場所という言葉が起源であるとする説です。
他にも、日本の冠木門に起源を求める説や、海外の門の建築様式から伝来した説、ユダヤ教と関連があるとする説もあります。
鳥居の語源についても、起源と同様にはっきりとしたことは判っておりません。
鶏の止まり木を意味する「鶏居」や、神が通り入る門という意味の言葉「とおり(鳥)いる(居る)」から来ているとも言われています。
鳥居は、大きく2つに分けることができます。
また、鳥居を数えるときの単位は、「基(き)」になります。
※鳥居の各部名称
それぞれの鳥居の特徴は以下になります。
※五十音順
靖国鳥居のように貫が四角形ですが、貫と柱の間には楔を入れて動かないように固定しています。
稲荷神社にある鳥居で、笠木は五角柱状になっており、柱から出ています。楔や額束もあります。
宇佐神宮にある鳥居で、額束がなく、島木・笠木ともに曲線を描いています。
円柱の上に円形の笠木が載り、貫だけ角材で造られていて、貫の端が外へ突き出しています。
春日大社にある鳥居で、島木の両端が垂直になっています。八幡鳥居とも似ています。
笠木と島木が唐破風(そり曲がった曲線状)の形をしています。中央部は凸型で、両端が凹型になっています。
樹皮がついたままの生木を使用しています。
神明系にはない島木が付けられています。伊勢の外宮に見られます。
笠木は五角柱状になっており、柱から出ています。また、笠木の中央に屋根が載っています。
笠木の下に島木があり、島木・笠木は反りがあり、端が斜めになっています。国内にある一般的な鳥居です。
樹皮を取り除き白木を使用しています。
垂直に立つ円柱の上に、円柱状の笠木を載せており、下に貫を入てある神明系鳥居の基本構造です。
神明鳥居に属するが、柱下に饅頭があり、棟の部分に島木・笠木を重ねて、さらに屋根を葺いています。
住吉大社にある鳥居で、基本構造は明神鳥居ですが、柱の形状が四角くなっています。
伏見稲荷大社で見ることができます。高さ約2mの鳥居が約15cmの間隔で、トンネルのように連なります。
稲荷系神社に多く、島木と柱の接合部に「台輪(だいわ)」と呼ばれる輪が付いています。
伊勢鳥居と同じ構造ですが、柱だけは八角形になっています。
明神鳥居と似た形をしていますが、貫が柱の外側に突き出していないところが異なります。
島木と貫の間の額束付近に、「扠首棹(さすさお)」と呼ばれる支えがついます。
基本構造は明神鳥居ですが、柱の根元に、柱とは別の板や竹を巻きつけています。
基本構造は神明鳥居ですが、笠木の両端が平坦な直線を描いているものと、切り落とされているものがあります。
基本構造は神明鳥居ですが、鳥居を三つ組み合わせた形をしています。
笠木と島木の両端が反りあがっており、楔と額束がある明神系鳥居の基本構造です。
「脇鳥居(わきとりい)」と呼ばれる小さな鳥居のようなものを両脇に設けています。
鹿島鳥居のように、柱と笠木に丸太を使用しています。貫は角材でできており、額束があります。
垂直な柱の上に笠木を載せており、下に角材の貫を入れた直線的な鳥居です。
低い控え柱が本柱を支えています。それを貫で連結させています。
それぞれの系統によって形状が違いますので、訪れた場所がどの種類の鳥居なのかを確認してみてはいかがでしょうか。