▼ 仏像の素材の種類
仏像がつくられる際の素材は、仏師とその技法で異なります。
仏像は仏の姿を具現化した像であり、仏師は仏像を専門にする彫刻家のことです。
一般的には菩薩像・天部像・明王像・祖師像などの仏教関連の像全般を仏像と言いますが、立体的に表された丸彫りの彫像を指すことも多いです。また大きな仏像は大仏と呼ばれております。
仏像の素材は、代表的なものとして金属・木材・乾漆・粘土・石材があります。
それぞれの特徴は以下の通りです。
金属 | 仏教が伝わった頃の日本では、寺院の御本尊は鋳造でつくられておりました。 東大寺の盧舎那仏像のように、大仏と呼ばれるほとんどの大きな仏像は鋳造でつくられております。 素材としては、金・銀・銅・鉄がありますが、金や銀は非常に貴重なため、像の表面にだけメッキを施しておりました。 |
木材 | 多くの仏像で使用されてきた歴史があります。 木材の種類には、檜(ひのき)・萱(かや)・楠(くすのき)・白檀(びゃくだん)・柘植(つげ)があります。 技法では、ひとつの木からひとつの仏像を彫り出す一木造り(いちぼくづくり)と、木を寄せ集めて彫り出す寄木造り(よせぎづくり)があります。 |
乾漆 | 乾漆(かんしつ)は漆を乾燥させて固めた素材です。 像の土台に布を貼り、漆を乾燥させて固めてから土台を取り除きます。奈良時代に多く用いられたもので、東大寺法華堂に安置されている国宝「梵天・帝釈天立像」がこれに当たります。 |
粘土 | 粘土または泥土でつくられた仏像は、数としては非常に少ないです。 粘土で作られた仏像を塑像(そぞう)と言いますが、湿度により影響を受けやすいため、保存が難しく現存するものとしては、法隆寺の「金剛力士像」があります。 日本は湿度が高く、当時の仏師たちから何度も補修して受け継がれております。 |
石材 | 一般的には石像と呼ばれることが多く、自然石から掘り出すものと、山から切り出した岩からそのまま切り石でつくるものがあります。 国宝に指定されている「臼杵石仏」は大きな岩山に仏像を掘り出してつくられております。 |